骨盤底筋って何する筋肉?

皆様も一度はきいたことがあるかと思われる「骨盤底筋」という単語

7月末に名古屋のビューティーワールドジャパンという美容業界の展示会がありまして、私も友達と参加しました。

そこでよく見かけたのが電磁パルスを使用した骨盤底筋を鍛える(フェムケア)の機器の数々でした。

ではそもそも骨盤底筋にはどのような役割があるのでしょうか?

内臓を支える

骨盤内にある膀胱・子宮・直腸などの臓器を支え、正しい位置に保ちます。

排泄の制御

尿や便の排出制御機能があります。筋肉の緊張・弛緩により正常な排泄をコントロールする、重要な役割を担っています。

腹膜内の圧力調整

腹腔内の圧力を調整する役割があります。排便時などに腹部に力を入れた際に直腸に腹圧を伝えたり、排泄時に圧力が掛かった腹膜を下から支えたりしてくれるのです。

骨盤底筋は、体骨盤底筋群の構造

骨盤の底に位置する骨盤底筋群は、一番外側の表層である「会陰膜(えいんまく)」、中間層の「骨盤隔膜(こつばんかくまく)」、内側の深層「内骨盤筋膜」の3層で構成されています。

骨盤底筋群の表層である会陰膜は、骨盤底の一番下にあり、中間層の骨盤隔膜を左右から支える部分です。

中間層である骨盤隔膜は、恥骨から尾骨にかけて、骨盤底の中央に位置します。尿道・腟・直腸が通過する穴が開いており、3層の中でも最も強靭な部分です。骨盤隔膜は、腕や脚などと同じ「横紋筋」という鍛えられる筋肉でできているため、骨盤底筋トレーニングで鍛えることが可能です。

そして深層の「内骨盤腹膜」は、骨盤内臓に通る血管や神経の通路として存在しています。深層内にある「肛門挙筋」には、子宮や膀胱を固定する役割があります。肛門挙筋は、さらに細かく見ると「恥骨直腸筋」「恥骨尾骨筋」「腸骨尾骨筋」の3つの筋群でできており、主に臓器の固定や弛緩による排泄の制御を担っています。

骨盤底リハビリテーション外来について – 昭和大学横浜市北部病院 女性骨盤底センター (showa-univ-kotsubantei.jp)画像引用

骨盤底筋が緩む・衰える原因

骨盤底筋が緩む、または衰える原因は、主に妊娠・経腟分娩の出産、加齢、運動不足や肥満が挙げられます。

原因(1)妊娠、経腟分娩の出産

妊娠すると、3kg程までに成長する胎児に子宮が常に圧迫されるため、骨盤底筋にも負荷がかかります。さらに経腟分娩の出産時には、胎児が腟を通過する際の圧迫だけでなく、会陰切開などにより筋肉に直接ダメージが与えられることもあります。

原因(2)加齢

骨盤底筋群も、腕や脚など他の筋肉と同様に、筋肉自体が年齢を重ねることで衰え、支える力が弱くなっていきます。

原因(3)運動不足、肥満

骨盤底筋の筋力も、使われなければ衰えていきます。運動不足により肥満が進むと、脂肪によって腹部が圧迫され、下で支える骨盤底筋に負荷がかかり、骨盤底筋自体がダメージを受けます。

骨盤底筋は筋肉ですので、ダメージを受ければ緩んだり衰えたりします。
しかし、逆に考えれば、他の部位の筋肉と同じように、トレーニングによって機能の回復や筋力の維持ができるということです。
骨盤底筋を正常に機能させるために、トレーニングを習慣化してみましょう。

「呼吸」が骨盤底筋強化のカギ

骨盤底筋の筋力を強くし、腹圧をうまくコントロールできるようになることが大切です。

そこでポイントとなるのが「呼吸」です。

なぜなら、骨盤底筋は代表的な呼吸筋の1つである横隔膜と連動して腹圧を一定に調整する役割もあります。

腹圧とは、おなかの中の空間を保つ圧力のこと。

骨盤底筋は、肺呼吸に関わる横隔膜、おなかの腹横筋、背中の多裂筋とともに腹圧を調整しており、体幹を構成するインナーマッスルとも呼ばれます。

息を吸ったり吐いたりすると横隔膜が上下に動きますが、このとき、骨盤底筋も連動して上下に動くことで、腹圧を一定に保っているのです。

骨盤底筋がゆるんでしまうと、腹圧が低下して体幹が不安定になり、姿勢が悪くなったり、内臓の働きが悪くなったりすることがあります。

骨盤底筋トレーニングの効果

効果(1)尿漏れ・便秘の改善

骨盤底筋を鍛えると、尿道の開け閉めをコントロールする筋肉が正常に機能するようになります。
尿道を締める力の維持により、尿漏れの予防・改善に繋がります。

また、腹圧をかけても下でしっかりと支えられるため、力みやすく排便がスムーズになったり、
便秘の緩和に繋がったりといった効果も期待できます。

効果(2)産後のダメージ回復

骨盤底筋は、妊娠中に胎児を支え、出産により強い圧がかかり、大きなダメージを受けます。
出産後は、子供を抱えたり授乳したりなど負荷の掛かる姿勢となることで、腰痛を訴える女性も少なくありません。

骨盤底筋を鍛えることでダメージが回復できるだけでなく、出産によって開いた骨盤を戻しやすくなります。
さらに、インナーマッスルである骨盤底筋を鍛えることは、産後の腰痛改善にも繋がります。

ただし、出産時に会陰切開をしている場合は傷の回復が最優先です。くれぐれも無理なトレーニングを行わないよう注意しましょう。

効果(3)冷え性の改善

骨盤底筋を鍛えると、骨盤内の臓器が正しい位置に固定されることで、骨盤まわりの血流が良くなります。
血行が改善することで、冷え性緩和の一助となることも、骨盤底筋トレーニングの有益な効果の1つです。

さらに、骨盤内の血流が改善することで卵巣機能が向上するため、ホルモンバランスが整う効果も期待できます。
末端などの冷えに悩む方や、生理痛・更年期障害などに悩んでいる方は、骨盤底筋を鍛えることをおすすめします。

基本のトレーニング方法

「じわ~っ」10回+「キュッ、キュッ」10回で1セット

■ これで1セット!

  • 息を吐きながら骨盤底筋を引き上げるイメージで「じわ~っ」と締める、息を吸いながら骨盤底筋をゆるめる。
    これを10回繰り返す。

  • 約1秒ごとのテンポで、肛門を「キュッ、キュッ」と締める・ゆるめるを繰り返す。これを10回繰り返す。

■ 目標は1日6セット

できるだけ早期の尿もれ改善を期待するなら、1日6セット前後を目安に。
ただ、1日2~3セットになったとしても、何もしないでいるよりは骨盤底筋は鍛えられています。
あまりできない日があったとしても、日々継続することが大事です。

立った姿勢、座った姿勢でもOKですが、横向きやあお向けで寝た姿勢のほうが骨盤底筋の動きがわかりやすいでしょう。
筋肉の動きが弱い人は、内臓の重みが骨盤底筋にかからない(四つ這い)姿勢で行うと、骨盤底筋を動かしやすくなります。

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