
経皮吸収(皮膚に塗布したものが体内に吸収されること)経路には、毛孔や汗孔を経由する「経付属器官経路」と角質層を経由する「経表皮経路」の2つがあります。なお、皮膚に適用され全身に移行するためには、表皮を通過し、真皮以下の組織に存在する血管内に移行する必要があります。皮膚に循環している血液量は、全血液の約1/3であり、真皮の表皮側まで毛細血管が位置しています。(表皮には血管は存在しません)角層細胞の層数は手掌や足底で100層以上、前腕で約14層、顔面が10層以下、外陰部が6層であり、部位で角質層の厚さが異なることが知られています。前腕屈側の透過率を1とした時、前額部ではその6倍、陰嚢では42倍の透過が観察されており、角質層の厚さがバリア機能に影響すると推察されています。
経皮毒の理論
皮膚は、本来外界からの細菌の進入などに対して、バリア的な役割を果たしています。しかし、これは分子量3000以上の物質についてであり、分子量が3000以下の物質だと、皮膚から吸収されて体内に浸透し、800以下になると細胞レベルまで浸透し、75以下では、血管内にまで浸透します。皮膚にアレルギーを引き起こしたり、ガンなどの原因とされているような有害化学物質には、分子量が3000以下のものも少なくありません。また脂溶性のある経皮毒性化学物質はこのバリアをくぐり抜け、内側の真皮の毛細血管に侵入した物質は、血流に乗って全身に運ばれることになります。皮下組織は脂肪を多く含んでいるので、この脂肪に経皮毒性のある有害化学物質がたまっていくことになります。
経口毒と経皮毒の違い
口から入ったものに悪いもの(経口毒)があれば、人間の身体はうまくできており、肝臓・腎臓で解毒され、小便・大便と出るところがあります。特に悪ければ、すぐに身体が反応して吐くか下痢するかして、90%以上身体から出すことができます。ところが、皮膚から入る有害化学物質の90%は身体に蓄積されると言われています。